• 黄金株とは?その活用法とメリット・デメリットをご紹介

事業継承で使われる拒否権付種類株式である黄金株は発行すべき?

2017年3月30日

みなさんは「黄金株」という言葉を聞いたことがありますか?黄金のように価値の高い株という意味でしょうか?それともこれから莫大な利益を生むことが期待されている株のことでしょうか?「黄金株」は残念ながらそのように利益を生む株のことではありません。

9つある種類株の一種で、会社のオーナーが事業継承するときなどの発行されるものです。

株についての知識は、株の取引に関る知識だけではありません。

発行される株の種類を知っておくことも立派な勉強になります。それでは、黄金株の意味や、そのメリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。

黄金株をもっていると株主総会の決議事項を拒否できる

会社法により種類株式制度が導入された際、9種類の株式を発行できるようになりました。
それぞれ異なった権利や制限のついた株式ですが、その中でも拒否権付の種類株のことを黄金株と呼びます。

黄金株を持つ株主は株主総会で議決された内容のすべて、または一部を拒否することができます。
黄金株を持つ株主が1人でもいれば決議されたものを拒否したり可決したりすることができる、ということです。

黄金株はどのように活用するのか

黄金株は経営のかじ取りを基本的には後継者に譲る、しかし重要な点では後継者のかじ取りを正していく必要もある、そんな場合に黄金株が活用できます。

もともと黄金株は事業承継を円滑にするために発行されるものです。
経営権のすべてを後継者に譲渡することに対して多少の不安があったりすると事業承継の決断が遅れ、準備が間に合わず大変な思いをする、ということも多くあります。

そこで、黄金株を発行することで、譲れない部分だけは譲らずに後継者に経営権を譲渡することができるようになります。

例えば創業者であり、自分が始めた事業に愛着があったりする場合、後継者に経営を任せたとしても重要な決定については口を出したい場合もあるでしょう。

そんな時には黄金株を発行し、自分が黄金株を所有することで、事業継承をスムーズに行うことができるのです。

黄金株を発行するには?黄金株の評価額は?

黄金株は拒否権付種類株です。評価額は通常の株式と同じで、黄金株だから特別な価値を持つ、ということはありません。

1株は1株としてカウントします。

その黄金株の発行には定款の変更が必要です。定款を書き換えるためには株主総会で特別決議(議決権の半数以上の出席、出席株主の3分2以上の賛成)と登記が必要なだけでそれほど難しくはありません。

黄金株の発行はメリット・デメリットをよく考えて

黄金株が事業承継をスムーズにする一つの有効な方法だということを説明してきました。
しかし、黄金株はとても強力な拒否権を持っているので、黄金株があることで逆に事業承継が進まないケースもあります。

黄金株が持つ拒否権は定款で定めることができます。
そこでどんなことにも拒否権を発動できるようにしてしまうと、結局会社のかじ取りをしているのは先代だ、ということになりかねません。

そうなると後継者の心情としても実際の経営面でも支障が生じるでしょう。譲るべきところはきちんと譲り、どうしても譲れない、または後継者に対して不安のある部分のみ拒否権を使えるようにしておくことも重要です。

また、将来上場を考えている場合、黄金株の発行は控えた方がいいでしょう。

東京証券取引所の見解として「原則として黄金株の発行を控えるように」というものがあります。

これはとても強力な権利を持つ黄金株が他の一般株主の権利を不当に制限するというのが理由のようです。

黄金株の保有者が死亡した場合どうするのか?

黄金株の発行について最も注意しなければいけないのが保有者が死亡するなどした時の相続です。株主は預金や不動産と同じく相続の対象となります。

その結果、意図しない人に黄金株が相続されることもあり得ます。この場合、後継者として考えられていた人以外に相続されることもあり、事業承継がうまくいかなったり、最悪の場合、会社の経営がうまくいかなくなることも考えられます。

この問題への対策として考えられるのが「遺言書」の作成と黄金株を「取得条項付種類株式」として発行する方法の2つです。

「遺言書」は株式に関らずその他の財産にも関る重要なものです。黄金株とは関係なく検討しておくといいでしょう。

「取得条項付種類株」はその株式を取得する条件を定めることができます。
これにより、黄金株を保有する株主の死亡を条件として、会社が黄金株を取得できるようにし、実質的には一代限りの黄金株の発行が可能です。

もともとの黄金株を発行することのメリットを考えれば「取得条項付種類株式」の方法で黄金株を発行のがよさそうですね。

黄金株のメリット・デメリットのまとめ

黄金株とは拒否権付種類株で非常に大きな権限を持ちます。

たった1株でも株主総会での決定を否決できるわけですから、その力は絶大です。非常に強力な黄金株だからこそ、その発行には慎重さが求められます。

どうしても譲れない部分や後継者に対して少しの不安がある場合などに限って、事業承継をスムーズにする目的に発行するのがよさそうです。

その際、上場を視野にいれている場合は発行しない方がいいです。

また黄金株による拒否権を発動できる範囲を慎重に選ぶ必要があります。

会社の存続にかかわる部分や、どうしても譲れない事業についてのみにして、基本的には後継者にすべての経営を任せるのがスムーズです。

そして、黄金株を発行する際には取得条項を付けることも重要です。

黄金株の相続がなされた時の無用なトラブルを避けるために、保有者の死亡を条件に会社が黄金株を取得することで実質一代限りの黄金株にすることが可能です。

以上のように、黄金株を発行する際には、その効力の及ぶ範囲を十分検討し、相続の問題までよく考えて発行することをおすすめします。

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